2015年8月、毎日新聞に掲載された記事によると、
慶応大などの研究チームが 米科学誌プロスワンに
「インフルエンザのワクチン接種が乳児・中学生に予防効果なし」
との研究成果を発表したという。
4727人の小児対象の調査で、これは世界的にも例がない大規模な調査だそうです。
予防接種 インフルエンザワクチンに効果なし??
現在日本では、インフルエンザワクチンは小児6ヶ月以上の希望者が受けることになっている。
研究では2013年11月から2014年3月に慶応大関連医療機関に、
「38度以上の発熱があって受信した生後6ヶ月から15歳」のデータを分析。
インフルエンザの感染有無とワクチン接種有無を調べ、さらにインフルエンザA型B型など型別の統計解析を行ったものである。
その研究の結果、
インフルエンザワクチンの発症防止効果は
・1~2歳=72%
・3~5歳=73%
・6~12歳=58%
・13~15歳では効果なし
【09年に世界的流行をしたH1N1型】
・1~2歳=67%
・3~5歳=84%
・6~12歳=90%
H1N1型では、生後6~11ヶ月、13~15歳の患者数が少なく検証できず。
【B型】
全年齢で26%しか効果がない
という結果となった。
インフルエンザB型の予防接種は、以前から効果が低いとされていて、今回の研究でもそれを裏付ける形となったわけだ。
予防接種でインフルエンザの重症化は防げるか?
この研究で、全年齢を対象に「重症化の可能性」を調べた結果、
A型全体で76%減
H1N1型では90%減となり、効果を発揮しているが、
こちらでもB型では、重症化を防ぐ効果も確認されなかったという。
年齢毎の比較では、
最も有効性が高かったのは、
1~2歳のグループで、
次に3から5歳もそれに次ぐレベル、
6から12歳では新型インフルエンザ以外への有効性は、
かなり低い値となり、
13歳から15歳のグループでは、
ほぼ効果なし、というレベルでした。
1歳未満の乳児も同様に有効性が確認されませんでした。
一部の年齢、B型インフルエンザにはほとんど効果なしというショッキングな結果ではありますが、
小児へのインフルエンザワクチンの接種は、入院するほどの重症化を予防するという意味では有効性があるようです。
予防接種 インフルエンザワクチンの型って?
インフルエンザの予防接種は、その年に流行りそうな型のワクチンを接種することになるのですが、
国立感染症研究所によると、
「わが国におけるインフルエンザワクチン製造株の決定過程は、厚生労働省(厚労省)健康局の依頼に応じて国立感染症研究所(感染研)で開催される『インフルエンザワクチン株選定のための検討会議』で検討され、これに基づいて厚労省が決定・通達している。」のだそうです。
なかにはA型、B型どちらも流行する年もあるので、接種を受けていない型のインフルエンザに対しては効果がないということになります。
それならば、効果が低いとされているB型の予防接種より、A型の予防接種を受けておきたいと思ってしまいますね^^
とは言っても、A型にも様々な型があり、その年ごとにワクチンを作り替えているのだそうです。
そのようにワクチンを毎年作り変えても、インフルエンザウィルスというのはどんどん変異していくのだそうで、こうなるとやはり100%効果を発揮するというのはかなり困難なことなんですね。
それにしても、やはり予防接種はインフルエンザの重症化を防ぐためにも接種が基本ですが、
小児をインフルエンザから守るには、日頃から食事や運動で体力を付けること、手洗いやうがい、マスク着用、加湿などで予防を心がけ、無防備に人混みに出かけないなどの配慮も必要ですね。
ここ数年話題になっている「あいうべ体操」なども効果的ですので、是非取り入れてみてはいかがでしょうか?
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