日常生活に欠かせない冷蔵庫。冷蔵庫が壊れるってなかなかないことですが、実際壊れると想像以上に大変です。
毎日使う冷蔵庫ですが、中にはいつ買ったかわからないようなものも溜まっていたりしませんか。そんな冷蔵庫が突然壊れて、中身を全部出さなきゃならないとなると、ほんと、かなりの手間なのです。
冷蔵庫は高額な家電なので、買い替えるなら事前に価格や機能をじっくり比較検討して選びたいですよね。でも突然「壊れていた!」なんてことになれば、慌てて高い買い物をする羽目にもなりかねません。
冷蔵庫が壊れるにしても、できれば突然じゃなく、その前兆がわかるだけでも助かりますよね。
このページでは、冷蔵庫が壊れる前兆から壊れる原因や対処法、修理費用まで、元家電修理マンのリョウが解説します。
冷蔵庫の買い替え時期を見極めるのにもお役立てください。
冷蔵庫が壊れる前兆とは?
冷蔵庫が壊れる前兆としては、主に以下の2つの事象があります。
- 異音がする
- 冷えない
これら2つの前兆にも、それぞれにいくつかの原因があります。詳しく見ていきましょう。
冷蔵庫が壊れる前兆「冷蔵庫から異音がする」
冷蔵庫の音というのは、以下の3つのパーツから発するものです。
- コンプレッサー
- ファン
- 製氷機
冷蔵庫のコンプレッサーとは、冷蔵庫を冷やすためのガスを圧縮し、循環させるパーツ。
冷蔵庫のファンには、庫内に冷気を送るための冷却ファンとコンプレッサーの熱を逃がすための放熱ファンがあります。
冷蔵庫のコンプレッサーと放熱用のファンは、冷蔵庫の背面底部についています。見た目には、カバーがしてあるので、冷蔵庫内から見てもどこにあるのかはわかりません。
冷蔵庫を設置する際に、周囲に一定のスペースが必要なのは、このコンプレッサーやファンから発生する熱がこもるのを防ぐためであり、冷蔵庫の背面や側面にある通気口がホコリや汚れ等でふさがると、冷蔵庫の故障につながります。
冷蔵庫の取り扱い説明書に、設置スペースについての注意事項が記載されているので、その指示通り、壁との間にスペースを確保することが大事です。
では、具体的な異音についてさらに詳しく見てきましょう。
冷蔵庫、コンプレッサーからの異音
異常があったときの音は素人で判断するのはなかなか難しいのですが、「ブーン」という大きな音がしていたらコンプレッサーに過大な負荷がかかり故障している可能性があります。
コンプレッサーの修理となると、冷蔵庫うのサイズにもよりますが、3万円から5万円ほどの修理費用がかります。
冷蔵庫は、新品で購入してから10年ほど経過すると、配管内の冷媒が細い管の部分で詰まりを起こし、正常にガスを圧縮できなくなることがあります。人間でいったら動脈硬化を起こしたような状態です。
冷蔵庫の本体は1年保証でも、コンプレッサーの故障については5年の保証があるのが一般的です。冷蔵庫を購入してからの年数がまだ浅い場合は、保証書を確認してみましょう。
ちなみに、コンプレッサーの故障と間違えやすいものとして、コンプレッサーの振動防止のためについている防振ゴムの劣化による異音発生も考えられます。
防振ゴムだけの交換であれば、ホームセンターで数百円で売っている防振ゴムを入手し、新しいものと交換すれば解消します。ただし、重量があるため、自分での交換が難しいときは、業者に頼む必要があるかもしれません。それでも数千円で済むでしょう。
冷蔵庫、放熱ファンからの異音
放熱ファンはコンプレッサーのすぐ近くや背面上部などに付いています。単にホコリが詰まっていて、それが原因で異音がしているケースもありますので通気孔もチェックしてみましょう。
異音がしていても、冷蔵庫が問題なく機能していればよいのですが、ホコリが詰まった状態で放置していると故障の原因になりますので、きれいに掃除してください。
冷蔵庫内、冷却ファンからの異音
冷蔵庫内のファンから異音がする場合は、冷却ファンが故障している可能性大です。業者に修理を依頼しましょう。
原因としては、
- ファンモーター
- 羽根の軸ずれ
- 大量の霜着き
などの故障やトラブルが考えられます。
冷凍庫の霜は、一定時間経過すると付くものです。
ある程度霜が付くと、冷蔵庫内のヒーターが自動的に霜を融かしています。ですが、冷蔵庫の温度を測るセンサーやヒーター、タイマー等が故障すると、自動で霜を融かす機能が働かず霜が蓄積して、その結果、冷却ファンが氷の壁にぶつかり異音が発生する場合もあります。
冷蔵庫のメーカーや機種、大きさ等により原因は一概に判断できませんが、修理代は部品交換した場合でおおよそ1.5~2万円ぐらいかかります。
ただし、冷却ファンはコンプレッサーと同じく冷蔵庫本体とは違って5年の保証がありますので、購入後5年以内で純粋なファンの故障であった場合は無償で修理してもらえる可能性があります。
通常、冷却ファンというのはドアを開けると止まる仕組みになっています。
ドアを閉めると押されるスイッチがあります。ファンの音が聞こえにくい場合はドアを開けた状態でドアSWを指で押してください。押している間はファンが回ります。(マグネットSWの場合は簡単にはいかないのでここでは説明を省きます)そうやって間近で音を聞けば異音に気づけるかもしれません。
※自動霜取り機能付きの冷蔵庫は霜が着くと自動で霜取りします。自動霜取りをしている間は、コンプレッサーもファンも停止し音がしなくなります。霜取りにかかる時間は30分から3時間程度です。霜取り動作中は異音以前に音がしません。故障ではないので注意して下さい。
次に、冷蔵庫が壊れるもう1つの前兆である「冷蔵庫が冷えない」事例についても見てきましょう。
冷蔵庫が壊れる前兆「冷蔵庫が冷えない」
冷蔵庫が冷えない場合、故障ではなく他に問題があるケースもあります。冷蔵庫が壊れる前兆を見極めるためにも、まずは故障ではないケースから見ていきましょう。
故障ではないケース
「冷蔵庫が冷えない=故障」とは限りません。この機会に、冷蔵庫の使い方も見直してみましょう。
食品の詰め込みすぎ
食品を入れすぎて冷気の出口を塞いでいる。
よくあるのがビニール袋が庫内奥の通気口にへばりついて冷気が循環しなくなっているケースです。通気口を塞いでいる異物を除去すれば改善します。
一般家庭では、開け閉めの頻度が多すぎる点にも要注意ですね。
冷凍室の扉がしっかり閉まっていない。
冷凍庫の扉がしっかり閉まらない場合は、2つの原因が考えられます。
1つは食品を詰め込み過ぎて、冷凍室のケースの背後に食材等が落ちて挟まっている場合。ドアを締めても隙間があれば、冷凍庫の中の冷気が放出されてしまい、十分に冷えません。そのまま放置していると、ドアの隙間から外の湿気が入りドアの枠に氷の幕ができ、その氷が固まってしまい、ドアが開けづらくなることもあります。
冷凍室のケースの背後にものが挟まっている場合は、冷蔵庫本体のケースを外して落ちているものを取り除けば問題は解決します。
2つめは、冷凍庫のパッキンが外れている、もしくは劣化している場合です。
パッキンをしっかりとはめるか、ゴムが劣化している場合は早めに交換の依頼をしましょう。電気代にも影響します。
故障が考えられるケース
冷蔵庫が冷えないのか、それとも冷凍庫が冷えないのかで故障個所も違います。調べ方はまず冷凍庫の冷え具合を確認しましょう。
冷凍庫のものが少しでも融けているようならアウトです。
冷凍庫は正常な状態で、マイナス18℃からマイナス20℃ぐらいなので、温度計があれば計ってみてください。
冷凍庫が冷えない場合
冷凍庫が冷えない場合は、コンプレッサーが故障している可能性があります。10年ほど使用している冷蔵庫であれば、これは致命的な故障です。冷蔵庫の寿命と考えられませうので、買い替えを検討しましょう。
冷蔵庫の処分は購入する家電店に相談すれば対応してくれます。ただし、冷蔵庫の処分におけるリサイクル料金の負担は必須です。
ちなみに、コンプレッサー以外の故障で冷凍庫が冷えない場合であれば、2万円ぐらいで修理できる可能性もあります。
野菜室、冷蔵室が冷えない場合
冷凍室は冷えているのに、冷蔵室及び野菜室が冷えない場合、まずは冷却ファンが回っているか確認してみましょう。
基本的に、冷蔵庫は冷凍室から冷却ファンを通して冷蔵室と野菜室に冷気を割り振る構造になっています。
ですので、冷却ファンが回らなければ冷凍室が冷えていても冷蔵室や野菜室が冷えないという症状が現れるのです。
その症状が発生したときは、冷蔵室や野菜室の食品を腐らないように冷凍室に移しておき、業者に修理を依頼しましょう。冷蔵室の正常な温度は2~6℃、野菜室の温度は3~7℃です。
冷蔵庫が完全に壊れる前に早めの対処を
冷蔵庫の故障の前兆として、わかりやすいのは稼働中の「異音」と「冷えない」という症状です。
一般的に利用者側で確認できるのは、音と温度。
故障原因はここまで解説したもの以外にも、基盤の故障や温度センサーの故障等もあります。
ディスプレイにエラーコードや温度が表示される冷蔵庫でしたら、正常な温度範囲にあるのか普段から確認するようにしておけば、小さな変化にもいち早く気付くことができるでしょう。
もしエラーコードが表示されており修理依頼が必要だと感じたとしても、電源は抜かないでください。コンセントを抜くとエラーコードが消えてしまうため、修理する際に、業者が故障箇所を特定しづらくなってしまうのです。
冷蔵庫の故障の前兆を知っておけば、速やかにプロに修理依頼するなど、いざというタイミングで対処しやすいはず。
「おかしいな」と異変に気づいてから、本当に故障してしまうまでの期間はケースバイケースで変わってきますので、早めの対処が安心です。特に夏場の猛暑環境では冷蔵庫も故障しやすいのでご注意を。
買い物から帰って、いつでも食材を安全に保管してくれる冷蔵庫。壊れる前兆をしっかり捉えて、完全に壊れる前に最善の対処をしたいですね。
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